酒蔵保存協会

一般社団法人酒蔵保存協会について

本協会は、日本の伝統的酒造りを次世代に継承していくために歴史ある酒蔵を保存・活用し、その文化的価値を日本から世界に発信していくことを目的とします。

現在、酒離れや酒類の選択肢が多様化していく中で、日本酒市場は直近50年間で4分の1まで縮小しています。

日本酒は単なるアルコール飲料と言う枠にとどまらず、2,000年前から続く日本の食文化であり、神事に使われる神聖なものであり、職人の技が織りなす伝統産業です。「伝統的酒造り」は2021年に日本の無形文化財に登録されており、2025年にはユネスコ無形文化遺産にも登録される予定です。伝統的酒造りを未来につなげていきたい。そのためには、古い酒蔵を保存し、そのすばらしさを日本から世界に発信していきたいと考えています。

再生プロジェクト

貴重な文化財を後世につなげるために

玉乃光酒造株式会社は延宝元年(1673)に和歌山県で創業した日本でも数少ない伝統的酒造りを続けている日本酒の酒蔵で、戦後、京都の伏見に移転し、その際に事業を開始した蔵が「東蔵」です。

東蔵は大正13年(1924)に建設した築100年の建物であり、酒造りが玉乃光酒造の本社に移った後も貯酒設備や蔵人の住居として使用され、玉乃光酒造の原風景が残る蔵として現存しています。

ところが、100年の時を経て老朽化が進んでおり、耐震工事や修繕をしないと維持することが難しい状況です。代々受け継がれてきた東蔵を保存・再生し、伝統的酒造りを未来につなげていくため、「一般社団法人 酒蔵保存協会」が令和6・7年度の2箇年プロジェクトを実施します。

東蔵は玉乃光酒造株式会社本社の向かいにあります。 玉乃光酒造は和歌山県で350年前に創業し、戦後70年前に京都伏見に移転しました。 京都で最初に酒造りを始めた第二創業の場所が東蔵です。

東蔵は、大正 13 年棟上げ、築 100 年の酒蔵で、300 坪の土地に 85 個の貯酒タンクが並びます。 当時は他の酒蔵と共同で酒造りを開始しましたが、現在は東蔵の向かいにある玉乃光酒造の本社に酒造りの場所を移しています。 酒造りの場所としての役目を終えた後も、東蔵は貯酒設備としてや地方から酒造りにやってくる蔵人の住まいとして長らく使用されてきましたが、現在ではほとんど使用されていない状況です。

今回の事業を実施することで、東蔵の歴史を損なわないよう現状の建築を可能な限り残存させつつ、耐震補強・修繕を行って安全性を確保することで伝統的酒造りを世界に発信する拠点として活用したいと考えております。

メッセージ

一般社団法人 酒蔵保存協会理事長 羽場洋介

一般社団法人 酒蔵保存協会理事長
玉乃光酒造 第14代蔵元 代表取締役社長
羽場洋介

玉乃光酒造は、350年の歴史の中で多くの困難を乗り越えてきましたが、その中でも特に大きな転機となったのが、京都伏見への移転です。70年前、戦争で和歌山の酒蔵が焼失し、玉乃光は京都に移転して再出発しました。その最初の酒造りを始めた場所が東蔵です。東蔵は大正13年に建設した築100年の建物であり、玉乃光酒造の原風景が残る蔵として現存していますが、今は利用されておらず、老朽化が進み、このままでは維持することが難しい状況です。

そんな玉乃光の酒づくりの原点とも言える東蔵を再生することで、日本酒造りの精神性と伝統を次世代へと繋いでいく場所として蘇らせます。単なる修復ではなく、歴史を感じさせる風情や佇まいを大切にしながら、現代に生きる日本酒の価値を再発見する場にしたいと考えています。

一般社団法人 酒蔵保存協会理事 梅原英哉

一般社団法人 酒蔵保存協会理事
株式会社京伝びと 代表取締役
梅原英哉

私は、「京都から世界へ」をビジョンに、玉乃光とともに日本酒ブランドを立ち上げています。
現代のテクノロジーの進化に伴い、私たちの国が守り続けてきた歴史や文化が失われつつあることに、強い危機感を抱いています。消えゆく京町家や減少する職人、風化する伝統。しかし、日本には未だ計り知れない美しさがあります。豊かな自然や長い歴史、そして驚くべき職人技が存在しているにも関わらず、それが十分に評価されていない現実があります。私たちは、この魅力を再発見し、未来へ繋げていく責任があります。

「東蔵」は日本酒に限らず、47都道府県に眠る文化的な宝を世界に発信し、次世代へ継承する拠点にしたいと考えています。職人技や伝統の魅力を再評価し、国際的な舞台で輝かせる挑戦です。歴史や文化に新たな息吹を吹き込むこの取り組みを通じて、「東蔵があって良かった」と多くの人に感じてもらえる未来を共に創り上げましょう。

一般社団法人 酒蔵保存協会理事 村上雅彦

一般社団法人 酒蔵保存協会理事
株式会社Skeleton Crew Studio 代表取締役
村上雅彦

私は、京都のゲーム会社の代表をしながら、若手クリエーターの育成や独立して活動しているクリエーターの活躍の場を創出する事業をしております。長い日本の歴史の中で、今日まで継承されてきた日本酒の醸造の舞台である酒蔵は、単なる建物ではありません。日本の風土、四季、そして人々の情熱と技が結晶となった日本の重要な文化遺産です。これを守ることは、日本文化のDNAと歴史を未来に継承することに繋がると思います。

デジタル産業に関わり、そのクリエーター達と接する中で「デジタルとアナログ」「革新と伝統」の調和の重要性を感じています。多くの人の注目が集まり、進化する新しい価値も大事ですが、その中で失われている二度と取り戻せない古くからの価値があります。失ってはいけない日本の大切な価値を共に未来へと繋げたいと考えています。

・クラウドファンディング・実施中